・仕事合間に

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 つい先日の話。午前中の仕事を終えたところで次の予定がキャンセルになってしまい、お昼の数時間がポッカリ空いてしまいました。夕方にも用事があるためどうしようかと思いましたが、最近マトモな古美術品を扱っていない私はある場所へ行くことにしたのです。

 東京国立博物館。美術館・博物館の中で、私が一番足を運んでいる所です。ここのところ骨董系の交換会へほとんど行っておらず、間近で物を見ていないので「良品を見ておかなければ」という気分になったのかもしれません。

 博物館へ行ってみると、ちょうど特別展の会期終了後。入り口は閑散としています…と書くと「ハズレの時期」と思われるかもしれませんが、私は「やった!」と思いました。特別展の最中はお客さんが多く、館内が賑やかすぎるのです。しかも場所は「東博」。常設展だけでもマトモに見たら1日がかりでしょう。こういう時期こそ、美術館・博物館をじっくり楽しめます。

 まず、入り口から見て右手にある東洋館へ。中国や朝鮮の陶磁器など一応は知識のある品から、中近東の土器、仏像などあまり知識のない物まで、ともかく時間を掛けて丁寧に見ました。当然ですが、「物を見る」のは古美術商でもコレクターでも最も大事…というか基本的なこと。古物売買の情報や知識を得る、オークションの落札価格を追うというのは二の次の話です。しかし、こう書いている私自身物を見る機会が少なくなっていたのですからちょっと愕然としたというか、改めて自分の商売や意識というものを考えさせられました。

 アッという間に時間が過ぎ、東洋館を出て法隆寺宝物館を見学したあと本館へ。しかし、博物館に入った頃にあった気力や集中力は、疲れとともに薄らいできました。例えば音楽を聴く、読書するのと同様、集中力が散漫になっては頭に入るものも入りません。次の予定まで少し間はありましたが、本館の1階を軽く見て博物館を後にしました。

 人の少ない、静かな博物館。目の前にあるのは、日本やアジアを代表する名品ばかりです。しばらく良い古美術品を目の当たりにしていなかった私にとって、「良い保養」になった一時でした。

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コメント

東京国立博物館ですか・・・・。ずいぶん行ってませんね。昔は、近くの京博や奈良博は足繁く通っていたのですが、物を集めるようになってからはよほどのものの展示が無いといかなくなってしまいました。奈良の正倉院展も人の多さに圧倒されて、ずいぶん足が遠のいています。正倉院といえば、近くに住む私の80歳の知人の話では「子供の頃、正倉院の倉の下でよく遊んだ」と聞きました。今では高い塀に囲まれて、昼夜を問わず警備員が巡回しています。

余談でしたが、多分私が手に取れる物(ゴミ)とのギャップがありすぎて「どうせ買えねぇや・・・」という心理が働くのでしょうかねぇ。というわけで、最近いいものを見ていないので、目に垢がいっぱい貯まって・・・・(笑)。
では久しぶりに、奈良博でも覗いてきましょうか。

 コメント有難うございます。

 美術品を扱う、あるいは手にすることに慣れると、案外美術館や博物館に足を運ばなくなるものです。が、良い物を見分けようとするなら、良い物を見ておかなければなりません。

 私の先輩が、「昔、時間があったら仕事だと思って美術館・博物館に行った」と話していましたが、落ち着いた雰囲気の中じっくりと名品を見るのは有意義なことと思います。

明日から、古美術の売買の世界で働くことになった者です。どんな仕事なのか、ほとんど知識がなく、仕事が始まる前に、少しでも知っておこうと思い、インターネットでポチポチ検索していたところ、このページに行き着きました。
とても文章が上手くて関心しました。読みやすいし、気負いのない人柄もよく伝わってきました。なんだかほっとした気分です。業界そのものより、どんな人が働いているんだろうっていう不安が大きい。それで嬉しくなってしまいコメントを書いています。ただ、それだけなんですが・・・。あは。
僕も明日から頑張りまーす。ではでは。

 コメント有難うございます。

 確かに美術商には(私も含め)変わった人もいますが、基本的には普通の仕事と何ら変わりません。むしろ事情のわからない方には奇異の目で見られることもある…そういったところが現実でしょう。

 ちなみに「美術商 儲かる」という検索からこられたようですが、「儲からない」と思っていた方が良いでしょう。勿論、仕事の仕方次第ですが、基本的には好きだからこそやれる仕事です。稼ぎだけを考えたら、給料をもらえる仕事の方が遥かに安定していますよ。

 ともかく、やる以上は頑張って下さいね。

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