・企画画廊・貸し画廊 その2

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 画廊と言ってもいろいろな形態があると思いますが、ここでは「古物」ではなく「新作」を扱う画廊の話をしましょう。

 新作を扱う画廊。みなさんの頭には、綺麗な空間に何枚かの絵が飾ってある…という光景が思い浮かんだかもしれません。しかし、見た目が同じでも商売そのものが全く異なっているケースがあるのです。

 例えば、画廊には「企画画廊」と「貸し画廊」が存在しています。企画画廊というのは、作家や作品を画廊側がチョイスし、画廊のプロデュースによって作品を売るお店です。よって、企画画廊で展示されている作家は「選ばれた作家」ということができるでしょう。このため、企画画廊ではギャラリーオーナーの眼が命。場所代は勿論、広告費等も画廊持ちというケースがほとんどのため、作品が売れないと大きな赤字になってしまいます。   

 一方、貸し画廊というのは、端的に言ってしまえば「展示スペースを貸し出す」仕事です。こう書くと語弊があるかもしれませんが、もしオーナーが美術に興味がなくても、場所や設備さえあればオープンすることは可能でしょう。場所を構えて、プロの画家でも趣味の画家でもあるいは小学生の絵の展示会でも、場所を提供してお金をもらえばよいのです。勿論、現実的にはオーナー自身が美術商関連の仕事をしていたり、あるいは美術に造詣が深いというケースが多いのですが、ともかく「貸し」と言っても作品展示に厳しい審査がある格の高い貸し画廊もあれば、本当に場所を貸して賃料を得るだけの画廊までいろいろと存在しています。

 さらに、貸し画廊で企画展が行われるケース(貸し画廊のオーナーが作家をチョイスして企画展示をする、あるいは他者のプロデュースで企画展示をするときに会場を貸す)等もあり、一見するとある程度仕事が重なっている部分もあると言えるでしょう。

 しかし、ここ数年私自身が画廊の仕事に携わるようになり、改めて「企画画廊」と「貸し画廊」ではそのスタンスなり「コレクターからの視線」が大きく異なっているということに気づかされたのです。画廊業界や新作絵画のコレクターからすれば常識的なことなのでしょうが、古美術業界にいただけではそれがわからない、あるいは意識すらしなかったことなのかもかもしれません。

 次に、企画画廊の仕事について、もう少し詳しく記事にしてみましょう。
 
※その3に続きます。

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コメント

企画画廊はパトロナージュ的発想があるように思いますが、どうなのでしょうか。

コメント有難うございます。

経費等のお金を提供して作家をプロデュースするわけですからね。また、新規で開店して「儲かる」という仕事でもないので、ある程度でも資金を持っていないと厳しいというのも事実です。

最近は百貨店などでも企画ものが少なくなってきているように思います。
実際に作家の方とお話できる数少ない機会だと思うのですが。
私はついつい覗いてしまいますが、入りづらい雰囲気もあるのかもしれません。

なかなか「これ」といった展覧会というかイベントも少なくなってきましたね。

画廊、古美術店とも入りづらい雰囲気はあると思いますが、これについては機会があれば記事にしたいと思っています。
  

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