・怖い共箱の入れ違いその1

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 現代製の陶器というのは大抵共箱(サイン・作品名の書かれた箱)に入っていますが、たまに箱と中身が入れ違っている場合があります。ニセモノと故意にすり替えたケースは別にして、古美術商が扱っているうちに入れ違ってしまったというケースも意外なほど多いようなのです…。

 私も、同じ作家の「ぐい呑」2点をお互い別の箱に入れ違えてしまい、危うく売ってしまいそうになった経験があります。同じ作家の品で本物の箱でも、画題・デザイン・手法・形状などでタイトルが違う場合があるため、入れ違いにより問題が起きてしまうのです。同じ作家で同じ時期に作られた単なる「ぐい呑」というタイトルの箱を入れ違えたのなら(サイズが合えば)何とか合致はしますが、「松図盃」の箱に「梅図盃」を入れてしまうと事故になるのはお分かりでしょう。

 逆に、入れ違っていた物を買ってしまったこともあります。私が間違いそうになったのと同様、そのお店には同じ作家で違う柄の商品がいくつかあったので、買うときに店主が箱を間違えてしまったのでしょう。遠方の露店で買って相手も覚えておらずそのままにしてしまいましたが、どうも商品によって箱の大きさがそれほど変わらない「ぐい呑」に入れ違いは多く見られるようです。

 同じ作家の作品が2つあるときこの事故は起きるようですが、同じ種類の焼物同士もこうなる場合があるようです。以前、古美術商の市場でこんなことがありました。ある中堅作家のぐい呑に、一部の業者がかなりの高値を付けています。周りの人は不思議に思っていましたが、私にはその原因がわかっていました。中に入っているぐい呑は箱書にある作者の物ではなく、某人間国宝の作品だったからです。中堅作家も人間国宝も同じ地域の作者でしたし、箱と作品のタイトルが符合しているのも疑いを無くさせていました(箱も中身も「○○焼 ぐい呑」)。作風の違いがあるとは言え、大量の商品が出品される古美術商の交換会では、パッと見には疑いづらい物だったのです。もし、箱の方が人間国宝の物で中身が中堅作家の物、つまり人間国宝の作として注視されていたのならこの入れ違いは簡単に気付かれたことでしょう。中堅作家の作ということで、それほど丁寧に見られていなかったのです。

 その場に、入れ違った物のもう一方があったらさすがに誰か声を掛けて直した事でしょう。が、その商品は過去に入れ違った物なのか単体で出品されました。こういう場合安く競り落とそうと思い、皆何も言わずに黙って狙うものです。商品をよく見て、窯印(サイン)の知識があった~それに気付いた業者数人のみが競ることになりました。

※この話のその2は「裏美術売買」に掲載します。

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