・ある一山の話 その1

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 このサイトでたまに書いている、「一山いくら」の話です。

 古美術商の会に、ある「一山」が出ていました。お盆3つ分に、陶器を中心とした品が10点近くあったでしょうか? 以前書いた通り、山というのは1つでは値段の付かないような品がまとめられたり、品の用途や種類、作家ごとにまとめられて売られるものです。その山はどちらかというと前者でしたが、市場の時間を短縮するためソコソコの商品を一括して売るという感じのようでした。ちなみに、品をまとめるのは出品者ではなく会主(=交換会の責任者でオークショニア)です。丁寧に1点ずつ競りにかけられる美術品もあれば、山にされてしまう美術品も。出品者が指示をする場合もありますが、基本的に売り方や競りの進行は会主の裁量によるのです。

 その山の中に目当ての品がありました。ある人気陶芸家が若い頃に作った作品です。山の中に2点あってデキはまあまあと言ったところですが、どちらも需要のある品ですぐ売れそう。私はその山を買うことに決めました。会主「え~、この3盆まとめて3千円、3千円…」「5千!」「7千!」「8千!」「…2万!!」。方々から声が掛かる中、私は値を飛ばしました。チマチマ競っていては釣られて上がる一方。競りというのはエキサイトしがちなため、テンポ良く競るとそれに合わせて追いかけてくる人も出てきます。逆に、スパッと飛ばしてキリの良い数字を出すと周りも声を出しづらいのもの。その品を買おうとするなら、飛ばした価格の上へ声を出さなければならない~買おうとして強く踏んだ私と競らなければならないからです。もっとも、飛ばした価格が安ければ、そこからまた競りとなりますが…。しかし、その山の競りは私の一声で止まりました。もともと山にして早く捌きたい商品ということもあり、狙い通り私が落札したのです。

 山を買っておきながら、中に何が入っているのか、どういう組合わせで売られたのか、私はほとんど知りませんでした。目当ての品以外買う気がありませんでしたし、人気作家の品なので他の物と抱き合わされるとは思っていなかったのです(ただし、会主は現代陶芸にあまり詳しくない方でした。その作家を知らなかったのでしょう)。私が落札した商品の全てを見たのは、会が終わってからでした。

 何度か書いている通り、山というのは1つでは売れない安物をまとめるケースも多いです。が、運の良いことに私の買った山は、目当ての2点以外にもまずまずの品が入っていました。勿論、二次流通品として極端に価値の高い骨董品や有名作家の作品が入っているわけではありません。しかし、普段は安い山に必ず入っているどうにもならない量産品の花瓶とか食器、あるいは日用生活品といった物がほとんど含まれていなかったのです。私の知識にない作者の品もいくつか入っていましたが、量産品とは明らかに異なる出来の良さ。目当て以外の商品だけ売っても、全部売れば買値近く行くかな? と思いました。

 しかし、私の頭にあるのは当初から狙っていた2点だけです。交換会から間をおかず、私はその商品を売ることにしました。
※その2へ続きます

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