・思わぬ拾い物 その2

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 私は、横文字が苦手というオバチャンから箱を手渡されました。

「え~、どれどれ、L、A、L、I、Q、U、Eね……。  ラリック~!?」。何と、箱は現代ラリックのものでした。西洋アンティークは勿論、美術・骨董品に興味のある方なら「ラリック」の名前は聞いたことがあると思います。現在も工房作として高級ガラスを製造しているのですが、どうやらそれが出てきたようでした。「まさか」という思いから中身が少し心配になりましたが(リサイクルショップでは、箱と中身が別物ということがよくあります)、中の商品は紛れもなくラリック。大きい品ではありませんが、小売価格はソコソコするはずです。

「オバチャン、これ買うよ。いくら?」「これ、2千円ね」「2千円…」。普通なら黙って買うところでしょう。しかし、以前から私は価値あるものを知らずにオバチャンが安く言ってきても、それより高く買うと約束していました(勿論、顔なじみのこの店だけの話です)。多少でもお店の利益になりますし、オバチャンも美術品の価値を勉強したがっていたのです。「オバチャンに知識がついたら拾えないじゃないか?」「黙って買った方がいいのに…」と思われるかもしれません。が、こういうやり取りがあるからこそ、価値のありそうな物は私がお店に行くまで取っておいてくれるのでしょう。

 私は、「少しだけ」高く買いました。オバチャンも笑顔です。お金を払うと「天下のラリック」をいつものごとくをレジ袋にズボッと入れてくれましたが、以前買った油絵よりはマシな状態。ちゃんと袋に収まりましたし、ラリックの箱には作品がピタッとはまるウレタン素材もそのまま残されていたからです。これなら帰り道でぶつけてもそう簡単に壊れません。多分全くの未使用だったのでしょう。 

 しかし、オバチャンの売値が「2000円」ということは、一体いくらで引き取られたのでしょうか? リサイクルショップの価格ですし、私の予想では300円くらいではなかったかと思います。売る方も買う方もラリックを知らなかったからこそ付けられた値段ですが、処分する方にしてみれば不用品が300円にでもなってくれた方が良かったのでしょう。「後で価値を知ったら…」と、フト考えましたが、興味がない物なら今後も全く気付かない可能性の方が大きいのかもしれません(後から価値を知るより、知らない方が良いでしょうが)。

 それにしても、リサイクルショップにラリックを持ってきた方とオバチャンの会話を聞いてみたかったものです。「これ、いらないんだけどいくらになる~?」「200円ですかねぇ」「もうちょっと高く買ってよ~」「じゃ、思い切って300万円!」「売ったぁ~」(会話は想像です。ちなみに、このオバチャンは昔ながらの「はい、お釣り300万円」という言い回しをたまに使います…)。

 私は、手に入れた現代ラリックを早速売ることにしました。人気のある品ですし買値も格安。「アンティーク」というわけではありませんが、安めに売っても損することはなさそうです。しかしこの商品を売る際、私にはちょっと試してみたいことがありました。
※この話の「その3」は『裏美術売買』に掲載します。

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コメント

 横文字の苦手なオバチャンが、ラリキューと読んだだろうと勝手に想像して、笑いを堪え切れません。

「ちょっと試してみたい事」気になります!
つづき、楽しみにしています。

 いや、もしかしたら「ラリキュー」とも読めなかったかもしれませんよ。 以前、オバチャンに「最近、このメーカーのお皿よく見るけど高いの? バンゴギューってメーカーみたいだけど…」と言われつつ手渡された絵皿には「VAN GOGH」と書いてありました(笑)。 ひまわりの絵皿だったので気付いて欲しいものですが、興味がなければそんなものかもしれません…。

 「ちょっと試してみたい事」は大した事ない話なのですが、近日中にアップしますのでご一読いただければ幸いです。

 バンゴギュー!!大爆笑!ツボにはまりました。 しばらく思い出し笑いに苦しみそうな・・。

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