・ケタ違いの話 その1

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 先日、ちょっと面白い話を聞きました。

 話をしてくれたのは、金持ちコレクターが転じて古美術商の交換会でも売買する「半業者(古物商許可有)」のAさん。登場人物はこの方ではなく、Aさんの友人である骨董愛好家のBさんです。デパートへ買い物に行ったこの方、時間があったので茶道具売り場へと足を運んだそうですが…。

 デパートの茶道具売り場というのは私も詳しくありませんが、茶道具商・美術商が直接販売している場合を除き、主に現代作家や職工の手による新しい道具が売られているのだと思います。こんなことを書くと語弊があるかもしれませんが、茶道具というのはある程度値段がしないと有難味がないもの。普段Bさんが骨董市などで見かけるありふれた茶碗・茶入が、その5倍・10倍と言う値段で売られており改めて驚いたそうです(もっとも、茶道具以外の品でもそうではあるのですが…)。ともかく、実際に品物を見て一次流通の価格でいくらするのか、頭に入れておくのも勉強の一つでしょう。Bさんは、そこに並べられた商品や値段を事細かく見ていったそうですが、そんな中ある商品が目に入りました。それは5~6本並べられていた「茶杓(ちゃしゃく)」です。

chashaku01.JPG 「茶杓」は、茶道をされない方でもご存じでしょう。抹茶を掬(すく)う、主に竹でできた匙の事です(象牙製・陶製などもあります)。茶道と言うのは、使われるどんな道具にでも凝るもの。茶碗・茶入など「茶道」と言われてすぐ思い浮かぶ物に限らず、たばこ入れ、座敷を掃く箒(ほうき)、花瓶の下に敷く敷板、果ては座布団に至るまで値の張る「茶道具」は存在します。何とも堅苦しいようですし色々意味合いもあるのでしょうが、これは一つ一つの道具に気を掛け「心尽くしで相手をもてなす」というところから来ているのだと思います。また、茶道をされる方においては、こういった道具を集める~コーディネイトするのも大きな楽しみかもしれません。

 中でも茶杓は必需品の一つ。利休手製の超高額作品から、そこら辺のオッサンが作った数百円の物までいろいろとあるわけですが、デパートで売られている茶杓で比較的高い品は、現代の僧侶による書付が入ったものでしょう。これなら、新しく作られた茶杓に「茶道具としての付加価値」を加えて売ることができます。古い物だと、どうしても「贋作」とか「保証」といった問題が生じますが、現代製のこういった道具を直接仕入れてしまえば、デパート側も安心して売買できるのです。僧侶の書付がある新作の茶道具は「デパートの商品」としても「茶道具」としても、まずは無難な品だと言えるのでしょう。

 話を戻して、Bさんが目にした茶杓も全てある現代の僧侶(同一人)による書付が入った品でした。なかなかの良品ですが、何と言っても「竹の棒」。実際使うならともかく、美術品として単体で眺めるには少々面白味に欠ける品です。しかし、Bさんが目を凝らして見ていたのは、茶杓そのものではなく値札の方でした。

・写真は、箱・筒それぞれに書付のある茶杓。写真と本文は関係がありません。
※その2に続きます

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