・テレビの特集に思う その1

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 今日の夕方、某テレビのニュースで買出し屋さんが特集されていました。

 こういったテレビ番組でいつも閉口するのは、古道具商や買出しをされている方、あるいは最近やたらニュースのコーナーで取り上げられているリサイクル商を、遠回しに「安く買い叩く」「ボロ儲けしている」と揶揄することです。「数万円の物を千円で買取」とか、「容赦ない買取価格」とか…。リサイクル商の話ですが、「千円で買い取った物を1万5千円で販売」などどいう映像を流した後、キャスターの女性が「もうちょっと高く買ってあげれば良いのに…」などと言った場面も目にしました。

 言い方は悪いですが、これはたまにいる(勉強ができるとか、学歴があるとかに関わらない)「計算のできない人」、「商売のわからない人」が言う典型的な意見です。千円で買った物が右から左に1.5万円で売れてくれればそりゃ儲かりますよ。私もすぐにその仕事をやるでしょう。ただ、それは「売れればね」ということです。当然の話ですが、商品というのは売れてナンボ。売れなければ0円どころか経費でマイナスになります。ところが、計算の出来ない人は「売値」や「鑑定価格」を見ただけで、それが「換金できる値段」と解釈してしまうようなのです。

 上記の「リサイクル」を例にとりましょう。買い出したイスなり机なり流し台は、その場所に行って人の手によって運び、トラックによって運搬されます。それをまた人の手によって運び倉庫に入れ、入念にクリーニングして「不用品」から「商品」へと仕上げます。それだけでも大変ですが、店頭に出る前・あるいは並べられている間の「保管」という行為もバカになりません。場所を確保しなければなりませんし、売るのに時間がかかればその分場所を占める時間も増えます。場所を借りるにはお金が掛かりますし、時間とともに商品も劣化していきます。

 その上でさらに人件費・場所代・光熱費・税金などを全て考慮しなければなりません。こういった商売、売るときに値引くこともあるでしょう。それらを引いて、余ったお金がやっと「労働に対する利益」なのです。近年、街を歩けば大手から小規模までリサイクルショップにぶつかりますが、閉店するお店も目立ち始めました。どこも非常に厳しいのです。

 さて、先程見た特集ですが、最初の部分は見逃したものの相変わらずの内容。正確に覚えていませんが、買い取りシーンに合わせたナレーション・字幕によれば「古い着物は百万以上するものもある」とか、「古いボンボン時計は、数万から数十万」などと紹介していました。しかし、詳しい分野ではないものの、古い着物の価値はとても低いです。いや、大名家にあったとか、辻が花の着物が「綺麗な状態」で出てくれば高い物もあるのでしょう。しかし、着物というのはちょっとの汚れやホツレにも厳しい世界。普通の家にある古い着物なら、それこそ束でいくらという世界でしょう。時計も同様。よほどの掛時計でなければ、2つ3つで5千円、1万円程度という場合もあります。

 ところが、番組的には「一般の人が知らないお宝が民家に眠っている~それを買出し屋が安く買い叩いてボロ儲けしている」。こうした構図でなければつまらないのです。
※その2に続きます

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