・箱の注文 その2

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 前回の続きです。箱を注文する場合、専門店に頼むことも多いのですが…。

 しかし、もう1つ頼み方があります。交換会で、箱を扱っている(あるいはルートのある)古美術商に頼んでしまうのです。勿論、その方が箱を作っているというわけではなく、知り合いの専門店や指物師に頼んでもらうということなのですが、次の会の際に持ってきてくれるので、取りに行ったり送料を負担したりという手間を省くことができます。手間賃なくお付き合いとして請負ってくれる人、商売の1つとしてマージンを取る人といますが、箱を商品として売買している業者は大抵の場合マージンを取るでしょうか? ただ、マージンを取られ多少割高になったとしても、相手を儲けさせるのは良いこと。同業だけに、わずかでも利益を上げさせておくと後の取引がスムースになるのです。

 しばらくの期間、私もある古美術商に頼んで箱を作っていたのですが、いつものごとく注文しようと話しかけると知り合いの指物師が廃業してしまったとのこと。どうしようかと考えていると、横にいた業者が「○○さんに頼めばいいじゃない」と話しかけてきました。考えてみれば、古美術商の集まりですから箱の注文先を探すことなど簡単。今まで古くからの知り合いに頼んでいた~今度の相手はちょっと商売っ気の強い人だったので何となくノリ気はしなかったのですが、お互い名前を知らないわけでもありませんし、その場で頼めることからお願いすることにしたのです。私は「高さ○センチ、胴径○センチの花瓶が入る箱」とサイズの詳細を書いたメモ用紙をその方に渡しました。それからしばらくして、会で出来上がった箱を受け取ったのですが…。

 な、なんと。家に帰って花瓶を入れてみると、花瓶のサイズと箱の内寸(内側の寸法)を間違えて作成しています。つまり、箱内部の空間と花瓶の高さ・幅が全く同じサイズということなのですが、日本の職人ですから作成に関しての技術は確か。桐箱にピッタリ入った花瓶は、梱包材など詰めなくとも直立不動のまま全く動きません…。

 ちなみに、私もいろいろ箱を注文したことがありますが、このような作成ミスは初めて。と言って、突っ返すわけにもいきません。もし専門店でオーダーと違うとなれば文句の1つも言いますが、間に入っているのが同業(しかも、歳の離れた先輩古美術商)だけに、相手のミスとは言え揉めたくなかったのです。結局、しばらく間を空けてから箱を注文しなおすことにしました。
※その3に続きます

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コメント

箱…。
品物を買ったときに箱も味のある箱だと嬉しいです。
ぴったりの箱…なるほどあるんですね。

箱と函の違いを以前調べた事を思い出しました。

 コメント有難うございます。

 考えてみれば、この世界で箱は付き物
だけに、いろいろ逸話が出てくるかもしれま
せんね。 別の記事も書けそうです。

 

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