・箱の注文 その3

スポンサードリンク


 前回の続きです。しばらくして、私は同じ古美術商に箱を頼むことにしました。

 最初の注文でミスはあったものの、箱そのものはまずまずの質でしたし、値段も以前注文していた箱とほぼ同様でした。それに、オーダーとサイズが違うミスなど今まで経験しておらず、滅多にない間違いだと思ったのです。

 しかし念には念を入れ、花瓶のイラストを簡単に描き詳しくサイズを記入して「この花瓶が入る箱」と書いたメモを渡しました。内寸で注文しようかとも考えたのですが、これまでは品物のサイズで注文し丁度良い箱が出来ていましたし、まあイラストまで入っていれば間違えようがないと考えたのです。それからしばらくして、私は箱を受け取ったのですが…。

 何と、出来上がった箱はまたしても同じサイズミス。恐らく、請け負った方はサイズを表記した紙など渡さず「高さ○センチ…」などとテキトーに電話か何かで伝えたのでしょう。「伝言ゲーム」という遊びがありますが、どんな簡単なことでも間に人が入ってしまうと意思の疎通は難しくなるもの。よく考えてみれば、業者と箱の製作元は必ずしも近くにいると限らないのです。それでも、まともに仕事や頼み事を受けようとするならこんなミスは起こりえないのですが、さすがにこの方に箱を頼むことはなくなりました。

 この記事を書いていて、思い返すと箱の注文というのは案外面白い話があるというか、この辺りの事情はまた別の記事にしようかとも考えていますが、古美術商は勿論、コレクターの方でも馴染みの専門店を作っておく、あるいは一度オーダーして相場を確認しておくと良いかもしれません。

hako.jpg ※四方桟(しほうざん)…蓋裏に4本の桟(さん)が付いた箱。蓋が反りづらく、見栄えも良。安い箱では2本の横板で済まされているが、それよりも手間が掛かって割高。写真の箱は、たまたま手元にあった箱ですが、四方桟でも全体の作りは並くらいのものだと思います。

 そう言えば、一般の方へ品を売る際「箱は四方桟ですか?」と何度か聞かれたことがあります。もしかしたら、四方桟の箱に安物は入っていないという考えがあるのかもしれません。また、同じ作家の品でも安物の箱に入った品、良い箱に入った品とありますが、安い箱には比較的数を作られた品や若い頃の作品、良い箱には手の良い品や後年になっての作品が入っているケースも多いようです。一概には言えませんが…。
.

スポンサードリンク

コメント

たぶん近いうちに既製品を買うかオーダーをすると思います。なんだか箱付きで売ってあると、中身の信憑性が高まるような気がするんですよね(笑)、、素人的感覚なんですけど。

いつか箱書きの話も出ることを待っています!

 コメント有難うございます。

 そうですね、箱は作品の衣装というか、
見栄えを良くするのに一役買っていると
思います。管理・保護は勿論、お気に入
りの作品が良い箱に入っていれば一層
高級感が増すと思いますよ。

皆様からのコメントをお待ちしております  美術売買 骨董・コンテンポラリーを中心に

(※コメントは承認制です。表示まで、お時間がかかる場合がございます)


« 小さな埋蔵物 その1 | 美術売買  TOPページへ | 箱の注文 その2 »
次の記事を読まれる前に、是非コメントをお寄せ下さい。

『美術売買 骨董・コンテンポラリーを中心に』では、皆様からのコメントをお待ちしております。

 記事を読まれてのご感想は勿論、古美術品収集や現代美術にまつわる話、美術品売買のエピソードなどがありましたら是非ご投稿下さい。※コメントは承認制です。表示まで、お時間がかかる場合がございます


Copyright(C) 美術売買~骨董・コンテンポラリーを中心に allrights reserved.