・美術、骨董「おいくらですか?」その2

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 前回の続きを書く前に、時代ある古美術・骨董品より近・現代作品の評価がなぜ難しいか書きましょう。

 近・現代の美術品同様、古美術品にも相場はあります。が、「時代」という一般的には価値に換算しづらい抽象的要素があるため、金額のあまり高い品でなくとも評価する際に上手い言い回しができるのです。例えば、「値段的にはそれほど高い陶器ではありませんが、江戸後期の焼物で200年くらい経っているわけですし貴重ですね」等。「値段的にはそれほど…」と遠回しな回答を出しつつも、「時代の価値」というやや曖昧な部分をフォロー材料に使えるわけです。

 さらに、古美術品は新品時に売られていた価格もわかりません。貨幣価値も現代とは全く異なっていますし、参考となる「発売価格」が最初から古物としての価格なのです。 

 それに比べ、近・現代の作家による作品は基本的に時代の古さを価値に加えることができません。また、「××デパートで△△万円だった」とか、「××画廊で△△万円」といった作品の発表価格がわかる場合も多いです。さらに、古物売買においてはあまり参考にならないと言え、美術作家の名鑑とか年鑑といった本における「評価額」という価格もあります。普段美術品に興味のない人でも比較できる数値が(古物売買で参考にできるものかどうかは別にして)一応あるにはあるのです。

 ただ、美術品も流通する商品ですから「需要と供給」のバランスで価格が決まります。例えば、ネットオークションに毎日出品されている大量の美術品を見て下さい。絵画でも陶器でもいいです。ある程度名のある作家の品でさえ、落札価格は数千円というケースが珍しくありません。勿論、人気作家の品や需要のある品にはもっと高い値が付きますが、二次流通においてそういった作家や美術品が「ほんの一握り」ということに、もう皆さん気付かれていることでしょう。いくら発表価格や評価額が「100万円」の美術品でも、古物として現実的に売買すれば30万円の品もあれば1万円の品もあれば3500円の品もあるのです。

 とは言え、「売る気のない我が家のお宝」の値段を聞かれた際、さすがの私もバカ正直に「3500円」と答えるわけにはいきません。気を遣ったウワベの「評価額」「鑑定価格」を言えば良いのでしょうが、「おいくらですか?」と聞かれた以上、その人が当の美術品を売る可能性もあります。私が、前述したような表面的な評価額で「30万円」と答え「では買って下さい」と言われても困りますし、別の美術商に作品を持って行き「あの美術商は30万円と言った」と言われても困ります。

 そこで、何とか上手くフォローしながらその美術品を評価するわけですが…。

※この話の「その3」は『裏美術売買』に掲載します。

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