・美術、骨董「おいくらですか?」その1

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 古美術商という仕事をしていると、いろいろな方から「私が持っているこの品、おいくらくらいですか?」とか、「自宅に飾っている陶器、いくらくらいするでしょうか?」と聞かれることがあります。私は基本的に美術商相手の商売をしているのでこういった機会はまだ少ない方ですが、それでも尋ねられるケースはポチポチとあるでしょうか?

 骨董なり美術品の値段を聞かれる~それを答えるというのは案外難しいものです。いや、それが仕事上のことでしたら話は簡単。相手も「値段」という明確な答えを求めているわけですし、スパッと自分の値踏みを言えばよいだけです。が、「おいくらですか?」と、一般の方から「売る気のない我が家のお宝」について聞かれる…。これは一番困ってしまいます。

 中でも答えづらいのは、近・現代の作家による作品。絵画にしても陶器にしても、作品は良くできている~作家もある程度活躍していて資料や美術年鑑を調べれば立派な経歴や高い評価額が載っている…。しかし、そういった作家でもずいぶん前に物故となっていて美術界から忘れ去られていたり、商的にあまり評価されていないケースも多いです。作家は死んでも作品は残されますし、次々と新たな作家も出てくる。「美術品」ですから、作品が捨てられるケースもほとんどありません。つまり、「美術品」「お宝」というのは、もう星の数ほどあるのです。

 例えばどこかの市役所なり町役場に地元作家の絵画が飾られているとしましょう。かつては地元は勿論、ある程度全国的に活躍していて今でも美術書とか年鑑とか、何らかの資料で名前を見ることはできる画家の作品。実際に力量もあって、「郷土の先生」といったところでしょう。

 その絵画は、確かに地元のお宝に違いありません。美術的、資料的には評価される点も多々あるとは思います。が、わかりやすく書いてしまえば、様々な側面からある意味「作家(あるいは作品の持ち主)」に敬意を払って付けた「評価額」「鑑定価格」と、現実的に売買される「取引価格」は、物にもよりますが「大違い」という場合も多いのです。※この辺に関しては、普段から美術・骨董品を買われている皆様や当サイトをご覧の常連さんはよくご存じでしょう。

 で、こういった値の付きづらい美術品を「おいくらですか?」と聞かれた場合どう答えるか? それが仲の良い友人や古美術商相手なら「こんなもん、値段つかないよ…」と答えるかもしれません。では、ほとんど面識のない方や全く知らない方の「お宝」がそうだった場合、どう切り抜けるかと言いますと…。
※その2に続きます

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