・2009年の美術売買

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 2009年もあっという間に1年が過ぎ去ろうとしています。このサイトをご覧の皆様には、どのような1年だったでしょうか?

 今年1年だけの話というわけでもありませんが、美術・骨董系のコラムを書くページとして「不況」という話題に触れないわけにはいかないでしょう。

 アクセス解析を見ると、当サイトにどのような検索キーワードから人がきたのかわかるのですが、その結果が今年は結構面白かったのです。通常、何か具体的なキーワードや固有名詞が検索されることが多いのですが、今年はこんな検索をされた方が多くいました。

「骨董屋 儲かる」「美術商 就職」「美術商 年収」

 他にもあるのですが、美術商が「儲かる」と思っている方、あるいは仕事をしたい(探している)方の検索だと思います。一方で、こんなキーワードで検索されたケースも多くありました。

「骨董 売れない」「陶器 売れない」「美術 不況」「画廊 倒産」

 本当はもっと面白いキーワードもあるですが(笑)、おそらく事情をよくわからない方が「美術商は儲かる(儲かるかもしれない)」と検索しており、実際に売買していたり手元にある方が「売れない」と検索しているのではないかと考えられます。勿論、検索の真意まで汲み取ることはできませんが、「骨董屋 儲かる」と検索している人と「骨董 売れない」と検索している人を対比して考えれば、立場の違いが見えてくるというものでしょう。

 実際、不況の中にあって生活必需品でない美術・骨董品が売れないのは当然の話。つい数年前までバブル状態だった現代美術も、オークション落札価格を見ればその低迷は明らかです。

 また、少し前まであった「安いから買うか…」という雰囲気も、今となっては消えたように感じています。ネットオークションが飽和状態となって数年が経ち、値段の安さだけでは物に食指が伸びなくなってきたということなのかもしれません。

 不況が続く中、来年も美術市場に大きな動きはないと思われます。とは言え、「懐具合」というものはあっても、景気によって美術品の買い方に大きな違いが出るわけではありません。作家の名前や物の値段に惑わされず、よく選んで自分の集めたいものを集める、買いたいものを買う。この時期だからこそ、狙いすまして「良い品」を買いたいものです。

 それでは皆様、よいお年を。

・当サイトの更新は、09年と変わらずマイペースで行います。2010年もよろしくお願いいたします。

・「裏美術売買」に、特別記事1・レギュラー記事1の計2本をアップしました。

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コメント

2009年を振り返る記事なので、大晦日にレスさせていただきます。

長引く不況で美術品市場は冷え込んでいるのでしょうが、かなりの優品が出てくることがあります。興味を持って見ていると中に不思議な動きをするものがあるのに気付きました。

一つは銀座の老舗が長期間持っていた作品が売れたかと思うとすぐオークションに出てくるのです。想像するに、余り安い値段で売ると暖簾に傷が付くので、交換会を通じて別の業者さんに売却されたのではないかと思います。

もう一つは売れてまだ1年ほどなのにこれまたオークションに出品されるケース。おそらくホテルなど企業が購入したものの倒産や閉鎖で不要となったのでしょうか。

いずれにしても2段階ほど損切りをしたのではないかというような出品もあり、上手に拾って行きたいと思います。

それでも、強い画家というのはありますね。高塚省吾の油彩はエスティメイトを上回っていることが多かったです。

書いているうちに新年になってしまいました。明けましておめでとうございます。

今年も楽しみにしています。宜しくお願い致します。

コメント有難うございます。

ちょっと文意がわからない部分もあるのですが、美術品というのは流通する貨幣のような一面も持ち合わせています。今に限らず「先日見た品(お店に並んでいた品)がもうオークションに出ている」「しばらく経ったらまた流通してる」というケースは日常茶飯事と言ったところでしょう。

今回の話がどうかはよくわからないものの、「売れた」ということにして実は当の美術店が直接出品していたということもよくある話だと思います。すぐ出すケース、1年寝かせるケースと様々でしょう。

 当サイトの「美術売買 エピソード」にある「美術、骨董業界 狭すぎる…」や、「オークションの話」~「競りの妙 ネットと会場 その4」、古い記事ですが「美術売買 エピソード」~「美術品の鮮度」「人工衛星」などの記事もご覧下さい。また、本記事の後段にも書いていますが、価格に惑わされず欲しいものを買うことも重要でしょう。二段階の損切りをされている(と思われる)時点で、美術品の鮮度は失われているかもしれません。それが欲しい品であれば、お買い得ということになるのでしょうが…。

更新の方はマイペースとなりますが、今年もよろしくお願いします。

そうなんですね。売れたと思ったらすぐにオークションに出ているというのは珍しくないんですね。私は、せっかく買ったのにもったいない、すぐ売ってしまうくらいなら買わなきゃいいのにと思っていました。

ただ、今回の老舗のケースは直接出品ではありませんでした。老舗に問い合わせたところ間違いなく売却したということで、購入先も別会社でした。

あまり詮索するのは良くないのかも知れませんが、相手によって提示する購入金額も考えるべきだと思うのであの手この手で調べております。

過去の記事は全て拝読し大変勉強になりました。また、読み返したいと思います。

 そうですね。情報を集めたいという気持ちもよくわかりますし、逆に「損して得取れ」というか、あれこれ聞かず買うならスパッと買って相手の好意を得る、あるいは不興を買う可能性を排除するというのもありだと思います(状況がわからないのでなんともですが)。詮索しすぎて美術商から警戒されてしまったら、長い目で見て大損ですからね。

 今回のケースは店舗が直接出品したわけではなさそうですが、他の業者に預けて出品してもらう、知人に売ったことにしてその人に出品してもらうというのもよくあることです(お礼というか手数料として、落札金額の1割とか2割を渡したりします)。

 やましいことはなくても、例えば店舗の都合とか作家との付き合いで、当の持ち主が直接出品しにくいことって結構あるんですよ。そういう時は、よく出品を委託したりされたりします。

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