・企画画廊・貸し画廊 その4

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 企画画廊は、言わば作家と二人三脚で仕事をしていきます。

 例えば、無名の若手作家を発掘して展覧会を開催する場合、いきなりたくさんのお客さんが来る…ということはまずありません。生み出された美術品そのものの価値に作家の知名度は関係ありませんが、商売となれば「名前の大きさ」が価格なり集客数をある程度左右するのは皆さんお分かりの通りでしょう。

 そこで、企画画廊は作家と組み、長いスパンで仕事をしていくことになります。アドバイスをして人前に出せる作品に洗練させ、プロモーションをして(あるいは、画廊の信用力で常連さんを集め)お客さんを呼び、知名度のない最初の頃は比較的安い価格で作品を発表し、好評であれば展覧会を重ね、作家の知名度や年齢の上昇と共に作品の価格も少しずつ上昇させていく…。息の長い活動をして初めて、費用を投じた作家の作品から画廊も利益を出して行くのです。

 ところが、中には1回の個展を「点」で考えてしまう作家がいるのです。「今回、私はこの画廊で展覧会をやった」「50%も手数料を渡しているんだから画廊も儲かっただろう」「次はこの画廊から声が掛かっているから、こっちでやろうかな」…。企画画廊で展覧会をやったにもかかわらず、軽い気持ちで何の相談もなく別画廊での展覧会を行ってしまう作家も存在します。これをやられてしまうと、企画画廊のプロモーションも、積み重ねの戦略も全てパー。勿論、作家や画廊によって事情は異なるでしょうが、言ってみれば「次の画廊でやる展覧会のために前宣伝をしただけ」となってしまいます。

 日本の企画画廊の場合、書面で契約を交わしてまで「他の画廊で展覧会を行わない」などと約束とさせている所は少なかったようです。日本らしい曖昧さというのでしょうか? 「暗黙の了解」「常識」に期待している感じもありました。が、最近では書面で契約したり、活動について細かく指示する画廊も出てきたようです。今となっては、この方がハッキリしていて良いのかもしれません。

※その5に続きます。

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コメント

作家というと、作品を作るだけにしか興味がない、他の事は何も知らない、考えないという人が少なからずいるようなイメージがあるのですが、実際どうなんでしょうか。

活動について細かく指示するなんて、芸能プロダクションを連想してしまいました。他画廊に移ってしまったりすると業界におれなくなったりするのでしょうか。

コメント有難うございます。

マネジメントを教えるところもあるようですが、やはり美術系の学校であればきちんと仕事を教える…ということも必要なのではないかと思います。

やはり作家と話すと「描くだけ」「100%自分の意向でやりたい」という人も多いですからね。趣味とビジネスの区別はつけてもらいたいです。その辺りは次回に。

芸能プロダクションというのはその通りで原文にも書いていたのですが、誰もがまず思い浮かべる例で他に同じようなコラムを書いている方がいるかも知れず、掲載時に外して書き直しました。アート系の雑誌とかネットは読まず知識がないので、もしカブって何か言われたら嫌ですもんね(笑)。

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