・骨董市で安く買う その1

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 ずいぶんと以前、ある骨董市での話です。

 この骨董市は、一般の方でも入れる普通の市。名前を出せば、骨董ファンで知らない人はいない場所でしょう。

 勿論、出店しているのは同業者。顔見知りも何人かいて、挨拶をしたり世間話をしたり…。相手も商売なのに、迷惑と知りつつ時間を忘れて話しこむことも少なくありません。

 その日、市を見て周るとあるブースが目に入りました。いわゆる「近・現代の陶芸家による作品(古物)」をメインに扱っているお店です。有名作家の品からお手頃価格で買える作家の品まで。そういった物が何点も並べられていました。

 プレートに書かれたブース名を見ると、よく知っている業者のお店。何もここを目指して歩いたわけではなかったのですが、たまたま目に入って寄ってみたらこのお店だったのです。

 誰もいないようでしたが、しばらく並べられた品を見ているとお店の人が帰ってきました。主のオヤジさんではなく、息子さんです。この方、私より少し若いのですが、何せ父親が古美術商なのでこの業界に入ったのも早いのでしょう。ずいぶん以前、まだ古美術商になりたての私は、ある業者の交換会で彼と一緒に手伝いをやっていたことがありました。出品者の品を盆に載せ次々と回し、落札品を誰の品か記して裏に下げ、お盆を回収し次の出品物を載せて回し…。息つく間もなく沢山の美術品を競りに掛け、落札品を整理していくのです。

 話を骨董市に戻します。その息子さんが戻ってくる前、私は並べられていた品の中に1つ「当たり」を見つけていました。それは、人気陶芸家の作品で、古物相場も高い…という作家の品だったのです。  
※このページをご覧の方は既にご存知だと思いますが、著名作家(と言われている作家)や美術年鑑で高額評価されている作家の品が「古物相場も高い」とは限りません。例えば、発表価格が30万円の陶芸品でも、人気のない作家の作品は二次流通価格で数千円程度になってしまうケースも珍しくないのです。

 しかし、その人気作家の品は格安で売られていました。箱は古い感じでしたが、見た感じニセモノでもありませんし作品にキズもありません。勿論、品を売っていた彼がこの作家を知らないはずはないのですが…。

 どうして、この作品は安く売られていたのでしょうか?
 
※その2に続きます。

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