・売れない○○2

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 先日書いた「売れない○○」の続編です。

 まだ暑さの残る頃、某交換会にやや時期外れな火鉢が出てきました。大きくて綺麗な上に絵付けもまずまず。新品で売られていた頃は、さぞかし高かったことでしょう。会主:「え~、この火鉢が2千円!」。骨董品として考えるなら、この発句(スタート価格)はかなり安いように思えます。が、先日の記事に書いた通り需要がないのですから仕方ありません。実際、この価格ですら手を挙げる古美術商はいませんでした。出品していたはオバチャンでしたが、会場まで持ってくるのは大変だったと思います。売り切りたい、でも安すぎるという表情で品物を見ていますが…。

 しかし、いつまでたっても買い手がつきません。会主は仕方なく千円にスタート価格を下げました。オバチャンは「いくら何でも…」と言っていましたが、何と千円でも参加業者の手は挙がりませんでした。仕方ないと思ったのか、少し間を開けて「じゃあ千円でもらうよ」という人がやっと登場。これでようやく次の品に進むと思ったのですが、今度はオバチャンが「こんな安く売れません」と言いはじめたのです。気持ちはわかるのですが、売らないならサッサと引っ込めればよいものを、本人は重いので持って帰りたくないとも言っています。

 以前、これと似た話で「捨てられたつづら」という記事を掲載しましたが、今回は少しだけ違った結末が待ち構えていました。千円で買おうと言った古美術商にもう少し高く買ってくれと懇願したものの、相手も「千円じゃなければいらないよ」との返答。 ついにオバチャンも意地になったのか、「じゃあ売りません」と顔を真っ赤にして商品を引っ込めたのです。まったく、千円の物でそんなに引っ張らないでくれよと思いましたが、オバチャンとしても会場まで重い火鉢を運んできたんだからくたびれ儲けもいいところです。

 しばらくして、交換会も終わりかけになってきました。すると先程のオバチャン、何とさっき千円じゃなければ買わないと言った人に頭を下げて「千円でお願いします」と声を掛けてきたのです。これには会場も苦笑。どうやら帰りの荷造りを始めたものの、火鉢の大きさと重さに持って帰るのが嫌になってしまったようです。

 売ろうとして品物を持って行く時と、売れない上に仕事を終えて疲れている時では、物に対する執着が変わっています。持って帰る手間暇と、例え損でも身軽になって現金化できる事を考えれば、多くの人は見切って売ることを選択するでしょう。書き方は悪いですが、安物なら尚更そうです。なお、よく言われることですが、一般の骨董市や露店で狙った物が売れ残っているなら終了間際を狙うのが良いかもしれません。特に大きい物は見切って売ってくれるものです。もっとも、良い品は骨董市開始直後に売れてしまうのですが…。

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