・市場、交換会

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 このサイトで「業者の市場」とか「古美術商の交換会」とよく書いていますが、たまに友人や知り合いから「どこでやってるの」「いつやってるの」と聞かれることがあります。

 通常、私や周りの古美術商は「市場」というより「会(かい)」と言うことの方が多いでしょうか? 「交換会」ということなのですが、「会」とか「交換会」と言うと業界以外の方には少し意味が通じづらかったり、イメージできない場合があるようです。それで、古臭いというか野暮な感じになりますが、本文では「業者の市場」と表記するようにしています。※「交換会」というキーワードで検索される方が意外と多いため、後に「古美術商の交換会」などと書き換えた記事もあります。

 この「業者の市場」、日本国中どこでもやっています。大抵の場合、盆暮れ正月を除いて毎日どこかしらでは行われていることでしょう。月に1度の場合が多いですが、週1とか、毎月3とか7の付く日に開催される場合もあります。基本的には古物許可証を持った古美術商同士の競りなのですが、古布専門とか、版画専門、古書専門、あるいは格の高い市場、安物がたくさん出てくる市場と様々です。

 格の高い市場だと、それこそ「市場」という表現はほとんど使われません(先程書いた通り、当記事では市場と表記します)。こういった市場は「延べ会」と言って競り落とした品の会計も翌月払いが多いのですが、中には「買いしば(り)」「売りしば(り)」と言って、30万以上買わなければいけないとか、売らなければいけないという規則がある場合もあります。ちょっと意味合いは違いますが、麻雀をする方ならご存知の「二翻しばり」みたいなものでしょうか(安い手では上がれないというルール)。格の高い市場で安物ばかり売買したり、冷やかしでこられても困るということなのでしょう。このような市場には、高額商品は勿論、美術館に有ってもおかしくない品や名品が出てきたりします。美術・骨董ファンが見れば驚きの連続かもしれません。

 それ以外の市場の多くは「現金会」と言って、支払いも当日の現金払いです。参加業者によって特徴や出品物が変わるのですが、粒揃いの品が出てくる市場、秋や正月過ぎにはお中元・お歳暮(食品含む)が大量に出てくる市場とレベルも様々。大手の古美術商と話をする際、「おまえ、あんなところ行くなよ」と言われるような所もあるのですが、むしろ安物が出てくる市場の方が利幅の大きい物・面白い物を拾えます。以前は見かけなかった大手古美術商やその関係者が、近年そういった市場に来ているのを見かけるのはそのためでしょう。

 そういった大手が来ると、今まで安く買えていた物が買えなくなるというデメリットもあります。普段高額の市場で売買していたり、お客さんをたくさん持っているような業者は、買いも強いからです。競りが発生するため、オバチャンが知らずに出した「隠れた人気商品」を格安で落とすということもできません。しかし、今度はそういった業者を狙って出品するということが可能となります。物があふれて格安での売買が目立ち始めたネットのオークションより、むしろちゃんとした値段で売ることができるのかもしれません。

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コメント

当方今年から古物を取り扱おうと暗中模索中です。色々とご参考にさせていただきたいと思います。

大柳様

コメント有難うございます。

この不景気ですので大変だとは思いますが、景気が悪いなりの商売というのもあると思います。何でもかんでも扱うか、品物をチョイスして扱い、自分の色を出すか。どちらもありだと思いますよ。

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