・買いやすくなっている版画

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 人気現代作家の登場~世代交代期で、戦前・戦後に活躍した現代作家の(金銭的)評価がガタ落ちしていることは以前お伝えしましたが、逆に言えば買いやすくなっているのです。特に、この時期活躍した現代美術の作家は版画に力を入れていたりするのですが、中堅作家の版画はもう泣けるくらいに安くなっています…。

 先日、画商が何店舗か集まって行なっている一般参加可の入札オークションに行きましたが、「まあお付き合いで…」と入札した版画が私に落ちてしまいました。落札金額1600円…。小さい版画ですが、額付で作家も中堅どころ。発表時の価格も何万かはしたのでしょう。綺麗な作品で飾るにも十分。しかし、この落札価格が現状なのです。 

 これほど安く買えるかはともかく、1万円もあればソコソコ名のある画家、あるいは気に入った図の版画作品を探せるかもしれません。ネットオークションや一般参加型のオークションなど、拾いどころはたくさんあります。また、近年ではデパート主催の入札会や骨董市、アートイベント等、そういった品を手にできる機会も増えてきました。

「きちんとした画家の絵を飾ってみたいが、わからないし高そう」「手頃な値段で絵を手に入れたい」と思っている方にとってみれば、版画は今「買い時」なのかもしれません。

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コメント

はじめまして、愛媛県松山市に住んでおります。伊与田と申します。
昨日からブログを楽しく拝見させていただいております。
美術商あるいは骨董業界の内情がよくわかり大変勉強になりました。
私自身、この4年間ほどネットオークションを中心に年間数点ほど、版画や陶磁器などの骨董品を購入しております。貴兄のご指摘のように、落札額が4年前の3割安程度かと思います。しかし、まったく売れそうもない値段でそのまま放置されている業者のサイトも多いのも事実です。一番お得感があるのは、雑貨専門で売り切りを原則としているサイトでしょうか。四国の片田舎でも一般人が参加できる初心だし市はあるのですが、いいものなかなか出てきません。骨董店は高いだけですし、ネットでぼちぼち自分が飾って楽しめるものを求めています。
これからも時々拝見させていただきますので、最新記事の掲載を続けてください。

コメント有難うございます。

私もネットオークションを利用しておりますが、不景気に加え美術商ではない方達の出品(例えば何でも扱う古物商であるとか、一般の方であるとか)も増え、売るには厳しくなってきましたね。誰でも古物を売買していて、もう「古物許可証」というのが不要になっている感があります。

「まったく売れそうもない値段でそのまま放置されている業者のサイト…」というご指摘がありましたが、全くその通りだと思います。一方で商売をする立場から言えば、仕入れ値があり経費がありという点も買う側の方には覚えていてもらいたい点です。もっとも、私がネットオークションに出すときも買値より下げて売るケース(つまり、タダ働きの上にお金も損)が多いので、売り切ろうとするなら損を覚悟で値下げする必要もあるとは思いますが、以前と比べて「売買」というものが無機的なものになってしまったように思えてなりません。付け加えるなら、昨今のオークション価格(表示価格)の低下が、作家の発表価格との間に大きな開きをも作ってしまい作家も苦しんでいるのです。

景気もあるとは思いますが、以前は(仕事として当然の話ながら)経費や利益が乗っているとわかりつつ、わざわざ古美術店や美術商(あるいは作家)から買って下さる方も多く、それにより美術業界も育っていったという面が多々ありました。が、今は「値段が安ければ…」という感じで顔もわからない相手と会話もなく売買をされる方がかなり多くなってきたのではないかと思うのです。勿論、売り手の方にも問題点があったり改善すべきところは多々あるのですが、正直言って人と人とのつながりができなければ日本の美術界・古美術界も先細りしていく一方でしょう。書きかけになっている最新の記事で、私が新作を扱うケースが増えてきたと書いたのはまさにそのことに起因していて、こちらの仕事の方が有機的でやりがいがあるケースが多いのです。

記事については当方の他のコメント及び記事中にあります通り、あくまでマイペースに投稿させていただきます。現在の記事の続きはずいぶん前に下書きはできているのですが、投稿する気になれず保留しています。が、年末までには投稿したいですね。

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