・また一山の話 その2

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 一山には「当り」も入っているのですが、「ハズレ」や「よくわからない品」も入っています…。

 一番のハズレは「キズモノ」。現代陶器などにちょっとしたキズがある場合、単品では売れないため「その他大勢」として山の中に入っていたりするのです。ただ、モノとして使用することはできても、売り物にはなりません。「少しは足しになる」と考え山に入れているのでしょうが、むしろ値が下がるケースも見られます。露店などで、キズありの花瓶や飾り物が安く売られるケースは稀にあるものの、基本的に金銭的価値はほとんどないと言えるでしょう。

 次に「記念品」。「お、まあまあの皿だな」と思って引っくり返すと、裏に「太郎 花子」といった銘が入っていてガッカリすることがあります。結婚式の「引出物」ということなのですが、こういう記念品は「いらないモノ」の代表格。市場でもリサイクルショップでも投売りされている商品の定番でしょう。しかし、箱の方に名前が入っていれば何とかなります。木箱なら名前を紙やすりで削って消したり、箱に価値が無ければ中身だけ売ったり使ったり…。が、商品本体に思いきり名前が入っているとどうにもなりません。古物として商品にするのはちょっと難しいでしょう(もっとも、普通の引出物に大した品はありませんが)。

 さらにどうしようもない記念品は「トロフィー」「記念盾」「記念メダル」。安物が出てくる市場を中心にたまに出てきますが、メダルが純銀とか誰か有名な彫刻家が原型を作っているとか、そういう品に多少価値が認められる程度で他は厳しいものがあります。ゴルフスイングしているオジサンの像が乗った古いトロフィーなど、ヒビの入った花瓶以上に「燃えないゴミ直行」の品かもしれません。

 また、「勲○等」とか「紫綬褒章」などの記念品、「勲章」の類も山に混じってよく出てきます。恐らく、本人が亡くなって不用になったということなのでしょう。取っておくなり墓に入れるなりすれば良いとも思うのですが…。しかし、これも売れない品かと言うとそうでもありません。ずいぶん以前、私が買った山に入っていた勲四等か何かの純銀杯は、思ったより高く売れてくれました。菊の御紋が入った綺麗な三重盃でしたが、「菊の御紋コレクター」や「勲章コレクター」は、意外なほど多くいるのです(皇室関連の記念品・美術品を専門に扱う業者も存在します)。自分ではなく他人に贈られた品物でも、盾やトロフィーは相手にされず、叙勲の記念品や勲章にはコレクターがいる…。何となくわかる気もしますし、不思議な気もします。ともかく、銀杯の入った山の目当ては別の品だったのですが、期待していなかった物がちょっとした利益を上げてくれるのも「一山」の面白さと言えるでしょう。

 結婚式の引出物や、金婚式、長寿記念、あるいは何らかの団体が出した景品・賞品など、記念品というのはゴマンと存在します。そして、多くの記念品が山の1点として売買される一方、そうした中に価値ある工芸作品や作家物がポチポチ存在するのも事実。お金持ちが記念として配る品の中には、有名作家・高級メーカーの「数物」や、わざわざ作家に依頼して作らせた品も結構あるのです。そうした品はハズレと言えないばかりか、ソコソコの価格で売買されるケースも見受けられます。

 今回の記事は、「キズモノ」「記念品」という山の代表的なハズレを書きました。しかし、山の中にはこういったハズレとは異なる「全く不可解な商品」が混じっていることもあるのです…。
※その3に続きます

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