・競りの妙 その7

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 前回の続きです。会場にいた男性が、私の茶碗を競った理由はなんだったのでしょうか? いくつか考えられますが…。

 1つめは、単に何らかの理由でどうしてもこの茶碗が欲しかったからということです。何度も書いているように、この茶碗が「よくある品」であるのは間違いありません。しかし、手作りですからデキは違いますし、僧侶の箱書~銘もそれぞれ異なってはいます。ただ、この理由は少し考えづらいでしょうか? 正直、相場を大きく越えてまで買う品物でもないからです。

 もう1つ。競りというのは「負けまい」と思う気持ちが働きます。ネットオークションでも、自分より上の値段に乗られて「コノヤロウ」とばかり予算を超えた入札をしてしまった方は多いでしょう。会場での競りは、さらにエキサイトするもの。考えてみれば「その1」にあるように、私もテンポ良い競りにつられてこの茶碗を買っています。気をつけなければならないとわかっていても、闘争心に火がついて、あるいはタイミングの問題で相場からズレた価格をつけてしまうことはあり得ます。

 今書いた理由は十分考えられるでしょう。実際、これが正解でも不思議はありません。が、それと同じか、それ以上に考えられる理由がもう1つあるのです。オークションに参加したことのある方、あるいは(このブログをご覧になっている方にはいないでしょうが)美術商なら既にピンときているかもしれません。それは、この品を「高く買おうとしていた」のは初めから1人しかいなかった~目の前の競りが「人為的な競り」だったということです…。

 この長い記事をご覧の皆様には、一般参加型オークションに参加する際、書面等での「事前入札」は極めて慎重に行わなければならないことをお知らせしたいと思います。確かに、当日会場に行くこともなく競りに参加できますし、自分が設定した予算を越えて商品を買う危険性もありません。が、同時にその場の競りを見られないという「致命的な不利」があるのです。

※この話の「その8」は『裏美術売買』に掲載します。

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コメント

 なるほど。

 事前入札されていた方の限度額まで持って行かれた…可能性もですか。ある意味、金額が確定していると言えるんでしょうか。

 そうですね。 詳しくは次回書きますが、欲しい人が1人しかいなくても「競り」は発生・成立するのです。ここが怖いところでしょうか…。

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