・わかっていながら… その2

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 前回の続きです。まだ買われていない商品の中に、ある人気作家の陶器が入っていました。

 私はその作家の品を何度か扱っていたのですが、人気(需要)があっていつも右から左に売れていました。ぐい呑一つで数万円(古物としての価格)という作家ですから、売れた際の利幅もマズマズ。しかも、残っていた作品は「大皿」。普通サイズの皿や小皿5枚組といった作品は多少売れづらい面もあるのですが、大皿は見栄えがするため「陶芸作品」として需要があるのです。私の予算~扱い品目にも合いますし、この品を選ぼうとは思ったのですが…。

 ただ、少し気になることも。作品自体は本物なのですが、箱の状態が今一つな上、「野暮ったい」「つまらない」感じがしていたのです。なんというか、陶芸作品として締まりがありません。力量のあるその作家にしては、ちょっと魅力に乏しい品でした。

 私の買う順番がきましたが、その大皿は残っています。他に買ってもよい品はあったものの、相手の付けていた値段が安かったのと、作家の人気度から迷わずこの大皿を買うことに決めました。まあ、先程書いたように出来の甘さはありますが、客観的に「商売」として考えれば高い利益を望めそうな品。大皿を選んだ際、周りの古美術商からは「やられた」とか「良かったね」とか言われましたが、ともかく買った私もホクホクです。「どう考えても倍以上、上手くいけば3~4倍だな」などと考えていました。

 扱い分野や価格から、2~3点くらい買って終えた人、10点前後買った人といましたが、私はその時5~6点くらい買ったでしょうか? 品数は少なかったものの、家に帰ってから見るとなかなかの良品・商売になりそうな品ばかり。ただ、大皿は最初の印象通り、野暮ったい、今一つの作品に見えます。しかし、何より買値が安く、作者も人気作家ということで全く心配はしていませんでした。安めに売っても、十分利益が望める価格で買っていたからです。

 それからしばらくして、私はその大皿を売ることにしました。
※その3に続きます

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