・目利き貧乏 その1

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 この世界には、どうやら「目利き貧乏」が存在するようです…。

 いや、言葉の響きとして面白いので「目利き貧乏」としましたが、本来は「知識貧乏」と書いた方が正確でしょうか? 以下では「目利き貧乏」としますが、高い知識や経験値があるにも関わらず、なぜか「儲からない」「変な物を買ってしまう」方がいるのです。

 このサイトで何度か書いたように、目利きに関しては2つの要素~真贋や時代といった作品の素性を見抜くことと、その品の価値や相場を正確に判断して値踏みすることがあると思っています。と、書いている私自身勉強不足なので偉そうには言えませんが、このどちらが欠けていても古美術商としては厳しいでしょう。毎度書いていますが、業者価格で百万円の本物を瞬時に見抜く眼力はあっても、それを3百万円で買っては商売になりません。

 今回は、ある古美術商の姿を通して「目利き貧乏」の話を2つご紹介したいと思います。と言っても、この話に出てくる方は私よりずっと年上のベテランで、どちらかと言えば私の好きな人達。実際に貧乏というわけではないのですが(笑)、話のネタとしてご登場願いましょう。

 最初の業者。この方は凄い知識を持った人です。日本全国の市場を渡り歩くハタ師で、あらゆる品に知識を持っている古美術商と言ってよいでしょう(※ハタ師~民家からの買出し品を市場へ売ったり、古美術商間での売買を中心に商売している人。反対に、店を構えて主に一般客と取引している美術商を「店師」と言います。ハタ師のハタはいろいろ語源があるようですが、正確には不明)。

 陶器(作家物・古陶磁)、絵画(日本画・洋画)、刀剣、骨董品…。ありとあらゆる物に詳しい業者なのですが、中でも強いのは「書」。私は滅多に書を扱いませんが、多くの業者が「誰なんだ??」と思うようなマイナーな書でも「あー、○×△ね」と、名前は勿論、出身地とか誰の弟子(師匠)とかどこの僧侶とか、作者の素性を知っているのです。   

 ところが、この方が古美術商として凄いかというとそうでもありません。いや、私のような末端業者が言うのも失礼ですし、そもそも「凄い」「凄くない」というのも変な例えではあるのですが…。もうかなりのお歳にも関わらず、扱っている品は稀に良品を見かける程度で、一山いくらといった品や、ちょっと前の私が扱っていたような物ばかり。しかも、それらの中にはポチポチ「アウト」の品が混ざっているのです。
※その2に続きます

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コメント

続きが早く読みたくなる記事です。

この業者の方が、良い物は自分だけのお客とかお店に納めていて、市には残った物だけを出しているとしたら凄いですね。
実は…という感じで。

 いつもコメント有難うございます。

 実際のところ記事そのものは大した内容ではないのですが、続きをお待ちいただければと思います。

一般受けしないマイナーなものに高い値段をつけちゃうとか?

 たか様、コメント有難うございます。

「目利き貧乏」。捉え方はいろいろありますが、続きはどうなりますか…。ただ、オチがないのがオチかもしれません。

 これからもよろしくお願いいたします。

でも目利きの方はたのしいでしょうね。私のような素人でも骨董市で楽しんで買い物できる方法は無いでしょうか?いつも、ほしいと思っても相場がわからないので、結局買えません。。。

 コメント有難うございます。
 
 現代美術で良品をチョイスするymoさんのことですから、ジャンルは違っても品物を見る目は確かでしょう。ただ私もそうですが、詳しくない品の相場というのはなかなかわかりませんよね。

 最初のうちは、3千円とか5千円といった予算を決めておき、その範囲を越えないように買う方法もあります。制限があるとなかなか上手く選べなかったり、買う品が見つからなかったりするのですが、その分品物と値段をよく見て選ぶことになり相場も少しずつ分かりますし、決めた予算内なら失敗もないでしょう。そして、価格の高低に関わらず「実際に買う」という行為は、大きな経験値をもたらしてくれます。

 数千円くらいの予算でも、選び方によって楽しめる物は多いですよ。

ハタ師というんですか!

イギリスにも田舎をまわって集めてくる人がいると聞きます。ものすごくいいものに出会っても、興奮しないでしかたなく買うふり(買いたたく)をするという小説もあります。

骨董好きの多いイギリスで、そんな買い集めの仕方ができるんでしょうかね!? 自分もそんな幸運に巡り会ってみたいです。 たぶんすぐ顔に表れて察知されるでしょうけど。

サイトの紹介をして頂きましてありがとうございます。

 コメント有難うございます。

 海外から買いつけている方は、ハタ師と呼ばないかもしれませんね。西洋アンティークの場合、業者卸ではなく直接お店に出す場合が多いのではないかと思います。

 骨董好きの多い所でも、価値が分からなかったり、興味のない方も多いでしょう。輸入雑貨ではありませんが、他国の品ならではの価値を見出せるケースもあると思います。が、付けられていた値段が安ければ喜んで買うだけで、「買い叩く」というのは考えない方がよいでしょうか。良品を探すことに専念したとき、拾い物が見えるかもしれません。

 ちなみに私は、一般の方が提示した価格がどう見ても安い場合、買取の相場に近づくよう必ず上乗せして買います。そうする事で信頼関係もできますし、後になって「安く売った」と言われることもありません(相手が業者やオークションなら、メチャ安でも黙って買いますが 笑)。

 現実にそういう面が残っているのかもしれませんが、骨董屋→買い叩くというイメージを持たれている場合も結構あるようです。非常に残念ですね。

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