・競りの妙 ネットと会場 その2

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 私がネットオークションに出品した「ぐい呑」。スタート価格は、古美術商としての仕入れ値そのままでした。

 商売というのは、経費がありますから買った値段で売ると基本的にマイナスとなります。それに加えオークション手数料等もありますし、何より「働いた分の稼ぎ」というのもある。つまり、買値で売ったり損をして売ると、「マイナスの上にタダ働き」ということになってしまうのです。

 これは古美術商だけの話ではありませんが、経費やら何やらの上に「働いた分」を上乗せして初めて商売が成り立つというのは、皆さんお分かりのことでしょう。ところが、美術・骨董品の売買において、この当然の話を理解して下さらない人がたまにいるのです。

 美術・骨董品の売値には当然売り手の利益も乗っているわけですが、「美術品の価格=品の価値であり、そこに利益なんぞ乗せてくれるな」と考えている人が、仕事をしていると意外なほどいるように感じられます。当サイトをご覧のご諸兄は「そんなことない。売り手も商売なんだから、その辺は理解してるよ」という方がほとんどだと思うのですが、世の中そういう人ばかりではありません。

 現代社会においては、品物を売る仕事よりデスクワーク等で「給料」をもらう方がよほど「信頼のある賃金のもらい方」というのでしょうか? 古美術商のように「売り手が買い手に対し直接品物を売って利益を出す」という、ごく基本的・原始的な商売の方が何かと難しくなっている気がします。さらに、美術・骨董品の価格は他の商品と比べ違った面もありますし、この辺の話を書くとまた別の長い記事になってしまうのですが…。  

 話を戻し、それでも私が買値で出品したのは、前回書いた通り少々金欠状態で「少し損でも現金化したい」という事情があったことに加え、10万円というキリ良い値段から上乗せしてしまうと、もしかしたら売れづらいかなという弱気な理由もありました。それに、お店での販売と違ってオークションですから、最終的な売却価格はいくらになるのかわかりません。スタート価格の10万円は相場から見て安い価格でしたし、競ってくれるのではないかという期待も少しはあったのです。
※その3に続きます

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コメント

いつも楽しく拝読しております。3か月ほど前に貴ホームページに遭遇し、一気に読破?
した思い出があります。根っからの骨董好きというほどではありませんが、備前焼の酒器をわずかながら収集していますので、コラムの内容に新鮮さを感じると共に、内容が人生の縮図をみるようです。これからも訪問させて頂きます。

 コメント有難うございます。

 一気に読まれる方は非常に多いのですが、こうしてコメントを残して下さる方は少ないので、非常に嬉しいです。

 最近更新が遅くなっていますが、是非またお越し下さい。コメントもお待ちしています。

こんにちは。
コレクションする過程で増えてしまった第二希望ぐらいのものを売りたい気持ちが大きくなってきました。そうすると一気に売り手側の立場に気づきます。

その3が楽しみです!

 コメント有難うございます。

 この辺りの話はいつか記事に書こうとしてそのままになっているのですが、実践的な目利きになる一つの方法として「売り手側に回ってみる」というのがあります。

 売り手の立場や値段の付け方、品の売れ方などがわかりますし、それを知っている人とそうでない人では、いろいろな面で大きな差があると思うのです。

 美術品を眺めて楽しむ方なら不用の経験かもしれませんが、「買おう」という方は、「売ろう」という部分も知っておくべきでしょう。例え損をすることになっても、得られる知識の方が遥かに大きいはずです。

 次なる軍資金もできますしね(笑)。

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