・猛烈な競り合い

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 つぶれてしまったようですが、ある一般参加型オークションでの話です。

 かなり小型の会場でしたが、買いやすい価格の美術品や意外な掘り出し物も多く、古美術商を始めてしばらくした頃の私はたまに覗きに行っていました。オークション開催日、いつものように席をキープすると、常連さんと話したりお茶を飲んだり…。開始直後は日用雑貨品のような物しか出ないため、オークションが始まってからしばらく席を外しても大丈夫なのです。

 しばらくすると、どうも狭い会場が盛り上がっています。席に戻って話を聞くと、どうやらお客として来ているいかにも金を持ってそうなオジサンと、これまたいかにも金を持ってそうなオバサンが猛烈な競り合いを演じているようでした。ある商品にオバサンが声を掛けると、その上にオジサンが乗ってくるというパターンが何回か続いたため、オバサンの方がキレてしまったようなのです。 

「あなた、なんで私の上に声を掛けるのよ!」。狭いオークション会場ならではの珍しい揉め事ですが、オジサンの方は知らん顔。今度はオバサンの猛反撃が始まりました。見境い無く、オジサンが声を掛けたものをブロックしていきます。オジサンも負けじと声を上げ、その2人以外は競りに入る余地すらありませんでした。骨董品や絵画は勿論、普通の食器類やウェッジウッドのティーカップといった物が、お店の売値を飛び越えて競り上がっていきます…。平然と競っているオジサンに比べ、オバサンの方は半分泣きそうな顔で必死に競りの声を上げていました。

 結局、その2人で何点商品を落としたかはわかりませんが、比較的値段の安い美術品や雑貨品の多くは、その2人の嵐のような競りによって次々と落札されていきました。値段が安いと言っても、通常5千円くらいの品が3万円くらいになったりしたのですからトータルするとかなりの額です。どう見ても、オジサン・オバサン共に一般的な価格の倍~3倍以上で商品を買っていました。

 一点物で代わりがない古美術品(あるいは入手困難な物)なら、相場より高く買って何ら問題ないのですが、普通に手に入る品を定価以上に競って買うほど愚かな事はありません。あのオジサンとオバサンは、支払いの際に後悔したのでしょうか、自分にとって見れば大した金額ではなかったのでしょうか…?

 いずれにしても、ネットオークションを含め競りというのはエキサイトしがちなものです。始めに予算を決めてそれ以上競らない、チマチマ競らずにいきなり金額を上げて相手を諦めさせる等、工夫しながら予算オーバーにならないよう気をつけたいものです。

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