・一山の古額 その1

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 陶器でも絵画でもそうですが、商的に大して価値のない美術品を交換会で売買する際は「一山」、つまり「まとめていくら」という売り方がされます。

 勿論、山と言っても「良い山」「高い山」はありますし「安い山」の中にも売り物になる品はありますが、売っても利益にならないような品や単品で売るにはちょっと厳しい品が多いのも事実。ただ、売り物にならないような品でも、時として「最後のご奉公」をしてくれる場合があるのです。

 例えば、絵画で言うなら額、陶器で言うなら木箱を取れる場合。額にしても木箱にしても、新しく作るとなるとお金は掛かります。ですから、品は大したことなくとも「箱(額)が欲しいんだよ」などと言って安物を買う業者は少なくありません。

 これが木箱の場合、山として売る前に箱だけ簡単に取っておくことができるため、他で使い回しできるような良い箱はあまり混じっていないのですが、額の場合は外すのが面倒な上、取っておいてもサイズの問題があったり、額がないと絵画(商品)として格好がつかないなどの理由から、そのまま付けられ売られるケースが多いのです。

 ずいぶん以前、ある交換会で「○○君、悪いけどこの絵を買ってよ…」とお願いされたことがありました。私にお願いしてきたのは、絵を持ってきた人ではなくこの交換会の会主。買い手のつかなかった絵画の山を進行上仕方なく買ったものの、量が多いうえ商売になるような品でもないので、うち何枚かを買ってくれないかとお願いしてきたのです。

 私もいらない品でしたが、お世話になっている方でしたし頼まれれば嫌とは言えません。それに、安っぽいとは言え全て額装されていて、中にはちゃんと肉筆画(水彩)が入っていました。有名画家の作品というわけではないものの、売り手が用意した古い美術年鑑のコピーがあって一応作者の名前はわかるようです。

 何枚かあった絵は全て同じ画家による作のようでしたが、結局その中から3枚ばかり選んで買うことになりました。で、私の買った金額はというと…。
※その2に続きます。

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コメント

私は時々、「1本でもとれたら、後は捨てても良いかな」という気分で、古軸の山を格安で買います。しかし、1本ずつみていると、それがやけていれば、持ち主が長いこと架けて愛でていたのだなぁ・・・とかいろいろな思を寄せてしまいます。
特に軸は作品毎に遇わせて、手間暇かけて作られていますし、美術的価値の有無は別として、今まで床の間で大切にされてきたわけですから、どうしても情が移ってしまいます。

最期に一句 「 山里の しずかなり 柿のこる 」 

 コメント有難うございます。

 古軸の山を買われているそうですが、同業の方でしょうか(それとも、骨董市などで買われているのでしょうか)?

 それはともかく、確かに「物」というのは価格の高低に関わらずそれを飾っていた人の思いがあるわけで、物を見る際そういったことを考えてしまうのはありますよね。

前にも書きましたが、私は素人のゴミ集めです。買っても売りはしません。1点物という観点では、軸物は陶磁器等とちょっと意味合いが異なります。それだけ情が移りやすく感じられます(単に好きなだけかも解りませんが・・・・)。
余談ですが、より書画に親しめるように数年前から漢文と古文書を習い始めましたが、奥の深さにたじたじです。昔の人はすごかったと思います。
続きを楽しみにしています。

 いつもコメント有難うございます。 

 コレクターの方とは伺っていましたが、意地の悪い話、業者であっても「業者でない」という方は案外多いんですよ(笑)。私としてはどちらでも構わなかったのですが、ともかく失礼しましたぁ。

 私は主に陶磁器を扱っていたので、伊万里とか昔の生活陶器を見ると、それを使っていた人や時代を思い浮かべることはありましたね。

 漢文に古文書、私も興味はあるんですが、手付かずでそのままになりそうです。今や、通信手段や記録手段はデジタルになっていますが、それが乏しい時代の方がより「味わい深い記録の仕方」というのでしょうか? そういうものがあったように思います。

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