・2016-17 ネットオークション雑感 その7

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 私は、ある作家の茶碗を落札しようと、しばらく振りに見たネットオークションを追うことにしました。

 私が欲しかった茶碗。それは、ある現代作家による品なのですが、いわゆる「作家物」を知っている人なら知らない人はいないという著名な陶芸家による作品です。しかし、やや特殊な一面もあるというか、「狭い範囲で強い需要がある」というのでしょうか? 幅広く求められる需要があるかはわからないものの、熱心なコレクターがいるという作家なのでした。そして前回の記事に書いた通り、その作家の品を強く買ってくれる美術商を私は知っていたのです。

 ネットオークションというのは、終了の数分前まで動きがないケースもあります。終了30分前まで数千円だったものが、目を離しているうちに数万、十数万というケースも少なくありません。私が欲しかった茶碗も、案の定そんな感じの値動きをしました。1万円程度だった入札価格が2、3万から5万になり8万になり10万を超え…。入札があると終了時間が自動延長されるシステムなので、終了予定時間を過ぎても競りは続いていきます。

 結局、その茶碗は20万円を超えたところで私が落札しました。実際に自分の目で見ていない品を、10万単位のお金を払って買うのはちょっと怖いものです。いや、真贋自体は画像だけでも判別できる品でしたし、出品しているのは信頼できそうな美術商でした。心配なのはただ1点、コンディションです。見えにくい部分のキズは勿論、状態良好と言っても古物。キズに入らない程度の軽いスレや使用感があってもマイナスにしかなりません。特に、現代作家の品については「完品」が求められます。

 そんな心配の中、届いた茶碗は状態良好でした。ホッとしてその茶碗を眺めると、私も好きな作家の茶碗だけに「手元に置いておきたいな…」という気持ちが湧くような品です。以前にも同様の品は何度か扱っていたのですが、やはり良品だなと思いました。

 それからしばらくして、私はその茶碗を探している知り合いの美術商に売りました。美術商の市場に行くでもなく、買い出しに行くのでもなく、家に居ながらにして茶碗を買って、知り合いの美術商にポっと持って行きソコソコの売り上げ。何か不思議な気分だったことを覚えています…。

 それ以来、私はネットオークションで「買う側」に回ることとなりました。仕事としては、数万~数十万くらいまでの品を、自分で使ったりプレゼントするためには数千~1万程度の品を。自分の目で確認できないリスクはあるものの、ここ最近でかなりの個数落札しています。そんな中、ネットオークションならではの特徴であるとか気付いたこと、様々なエピソードも生まれました。機会があればこのサイトで紹介したいと思っています。

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