・近所にあった名品

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 先日、散歩中に何気なく神社へ立ち寄ってみました。近所でよく知っている所でしたが、こういう場所ほど普段は行かないもの。訪れたのは久しぶりです。森の中にある小さな神社で、昼間ですが鳥の声がするばかりで人もいません…。

 普通はお参りして終了ですが、物を見て扱う仕事をしているせいか、私は何か手の込んだ工芸品や美術品があると自然と目に入るクセがついていました。社殿には見事な木彫が飾られています。それほど大きくないとは言え、神社ともなれば宮大工や腕の良い職人が携わったことでしょう。その木彫は上手く表現できませんが、芸術というより一流の工芸・職人技といったものを感じさせてくれました。どんな物でも物を見ることは勉強になるものですが、近くに神社・仏閣があれば隅々まで見回してみるのも面白いと思います。美術館に行かなくとも、案外手近な所に名品が隠れているかもしれません。

 社殿の装飾とは関係ありませんが、以前、江戸~明治頃に作られた木製の小箱を見た老大工が「これを作った職人は木のことを良く知っている人だ。もう、こういう物を作れる職人はいないねぇ」と話したそうです。皆さんも経験があると思いますが、木製品というのは接合部に隙間ができてしまったり、反ってしまったり、あるいは割れが生じてしまったりします。老大工が見た箱は、日本の気候と木の材質を考え、気温・乾湿の差で伸び縮みしても不都合が生じないよう、木材の種類と板目を考えて組まれていたのでした。職人とすれば、いちいち計算して作ったのではなく長年の経験から瞬時に判断して木を組み合わせたのだと思いますが、これは凄い技術だと感じるのです。

 現在、木製品が使われる機会は減りつつあり、日本家屋が激減して欄間等の飾りも見受ける機会が少なくなりました。優れた木製品の価値、職工やその技術に対する敬意が少しずつ忘れ去られていく思いもして残念でなりません。木工は日本を代表する美術・工芸品として、海外でも人気が高いと聞きました。美術品としても日用品としても、もう少し木製品を見直して良いでしょう。

 蛇足ですが、木工の新作工芸品・美術品を買うポイントとして塗料が挙げられます。例え高級な木材が使われていても、ニス等の化学塗料で仕上げられた物は二次流通の際あまり値が付きません。たまに、ニスをコテコテに塗ったテーブルや置物を見ることがありますが、いかにもベタつきそうでかえって不快になります。用途にも寄ると思うのですが、高額商品を購入する際は気をつけた方が良いでしょう。逆に、多少は値が張っても漆などを使って落ち着いた光沢を持つ品は、それなりの価値も備えますし何より飽きがこないものです。

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