・デパートの骨董市

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 デパートで骨董ショー、アンティークフェアなどの催事をご覧になった方も多いでしょう。

 私が古美術商になる以前、こういった催事は少なかったようですが、先達の積極的な働きかけや一時の「骨董ブーム」から、近年いろいろなデパートで行なわれるようになったようです。

 私も一度だけ、某老舗デパートの骨董市に出たことがあります。出たくなかったのですが、突然決まった第1回とのことで参加する古美術商の都合がつかず、責任者に頼まれてしまったのです。お世話になっている方だったので仕方なく受けたのですが、さて何を持って行って良いのかわかりません。第1回ということで情報もありませんし、基本的に来場者の多くはデパートの客。悩んだ末、何点か飾り用に高い物を置く他は、コキタナイ昔の陶器よりも明治くらいの輸出用陶器(瀬戸や九谷の綺麗な絵が入った物)、買いやすい作家物の食器類などをチョイスしました。

 売れ行きは、ポチポチといったところだったでしょうか? しかし、何点か売れただけでもホッとはしました。始めは、経費すら出ないのではないかと思っていたからです。デパートで売るということは、当然デパートに利益を落とさなければなりません。集客効果や、一応「文化・芸術事業(っぼい)」という側面もあるのでしょうが、基本的には利益を得るための催事です。が、デパートだけにその手数料が「法外」。手数料の割合まで詳しく書けませんが、売る側としてはそれを乗せて売らなければなりません(こういった流通経路を考えると「鑑定額」や「真の売買価格」「店頭価格」など、様々な物の値段が見えてくると思います)。正直、商品が売れれば美術商の利益よりデパートの手数料の方が大きいという感じでした。

 ここまで読まれて「割高に設定されているデパートで買うのは損じゃないか」と思われた方も多いと思います。結論から書きますと、金銭面だけ見れば「その通り」。美術品でも電化製品でも食品でも、物を売買する場合は中間に何件業者が入るか、どういう業者が入るかで値段が違ってきます。これが個人の売買なら多少の手数料で済みますが、先程書いた通りデパートの手数料というのはハンパではありません。同じ物が、露店の骨董市とデパートの骨董市で全く違う価格となってしまいます。

 しかし、それでもデパートの催事で商品が売れるのは、「デパートの信用度」という面もあるでしょう。大手デパートの催事で変な物を売るはずがないという安心感が、買い手側にはあると思うのです(事実、古美術商側の責任者も、ニセモノを売るような人は出店させません)。また、普段こういった物を買わない方、デパートに用があってきたご婦人などに商品が売れるというのもあります。私の品を買ってくれた方はご婦人が多かったのですが、普段は骨董・アンティークを買わないという方が何人かいました。「綺麗だから」「食器として使いたいから」という理由で買っていただいたようです。ともかく、デパートはデパートなりの客層で売れてくれるということなのでしょう。

 デパートで買うのは金銭面から見た場合に損と書きましたが、勿論古美術商側も手数料を考えつつ相場を外れないよう苦心して調整しています。信用ある業者を集めて出店しているでしょうし、何より気軽に足を運べるのは魅力。明るく広い場所で古美術商と話しながら品物を吟味できますし、いろいろなジャンルの商品・お店を一度にたくさん見られるのも大きなポイント。デパートの催事にも、それなりのメリットがあるのです。

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コメント

 はじめまして。

 池袋のデパートでは2度見に行ったことがあります。なかなか買えませんが、こんなものもあるのか、と参考になります。

 あと、手でさわる時ドキドキします。もちろん高額な場合は触りませんが。。

 デパートで物産展をやっていると、やはりお値段が高めです。自分の故郷のふるさと展をやっている時気づきました。

 また立ち寄らせてもらいます。

 コメント有難うございます。

 デパートも商売ですので、割高になるのも致し方ないところでしょうか? いろいろなお店を周る手間や経費を考えれば、バランスは取れているのですが…。 

 またお立ち寄り下さい。

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